済州島の火山島と溶岩洞窟
100年前の地球が創り出した島
今からおよそ100万年前、新生代第3期の末から第4期にかけて起こった火山活動によって、韓半島の南にある済州島(제주도)が誕生しました。島の中心には高さ1950Mの火山体である漢拏山(한라산)がそびえ、その山頂には水深108M、周囲4720Mに達する火山湖、白鹿潭(백록담)があります。
繰り返し噴出した溶岩が海岸まで流れて行く過程で作られた数々の洞窟や絶壁、そして海に向かって流れ落ちる滝などの絶景は、済州島ならではの独特な景色を見せてくれます。東アジアでは唯一、楯状火山(たてじょうかざん:粘性のきわめて小さい玄武岩質の溶岩からなる、楯を伏せたような形の傾斜の緩やかな火山。ハワイのマウナロア火山など)の形成過程が伺える済州島は、100年前の地球が創り出した美しい自然遺産なのです。
漢拏山自然保護地区
済州島の面積の10%を占める漢拏山(한라산)は、約360もの寄生火山(きせいかざん:大きい火山の山腹からの噴火によって、こぶのように生じた火山)が作り出す独特な環境と変化の激しい地形によって、単一地域ではなかなか同時には見れない各種の動・植物が共存している生態系の宝庫ということから山全体が世界自然遺産として登録されました。
城山日出峰
城山日出峰(성산일출봉)は今から10万年前、水深の浅い海で起きた水中火山の噴火によってできた典型的な凝灰環(Tuff Ring)です。遠くから眺めると堂々とそびえる古城を連想させる峰は、冷たい海水に触れて細かい火山灰になった溶岩が噴火口の周りに積もってできたもので、完璧な王冠の形をしています。
拒文オルム溶岩洞窟系
済州島には120あまりの溶岩洞窟があり、その中で拒文オルム(거문오름:寄生火山という意味の済州島地域の方言)から噴出した溶岩が、海岸線に向かって流れて行く過程で形成された20あまりの洞窟が1つのグループを成しており、拒文オルム溶岩洞窟系と呼ばれています。拒文オルム溶岩洞窟系には、全長4480Mにおよぶ迷路のような洞窟、蛇が這うようなS字形の洞窟、黒い溶岩洞窟の中に白い石灰生成物が溶け込んだ洞窟などがあり世界的にも注目を集めています。※ 韓国世界遺産 地図拡大
作成:2012.1(更新:2016.10)