公州・扶余ガイド後記
ジョン・ヒョンスさんとの百済遺跡群の旅
定番のソウルや釜山、慶州には仕事やその延長線上の観光で何度か訪れていたのですが、なぜか日本と歴史的に関係の深かった百済の旧都、扶余の「定林寺址五層石塔」を見てみたいとずっと思っていました。数年前には、百済遺跡群が世界遺産登録されたという話を聞き、60歳を過ぎて少し自由な時間ができたので、思い切って3泊4日の日程(2018年2月11日~14日)で百済の旧都、公州と扶余を訪れることにしました。
手頃な料金で大手旅行会社の世界遺産ツアーもあったのですが、韓国語がまったくできない私でも何か旅の情緒が感じられる旅行の方法はないものかと、インターネットで個人の旅行体験記や現地通訳の方のブログなど検索してみました。
その時に、今回の旅行でお世話になったジョン・ヒョンスさんのブログに偶然出会いました。ヒョンスさんに事前にメールで相談してみましたが、ヒョンスさんも困ったと思います。私は、百済地区に関する予備知識も何もなく、ただ漠然と百済関連の史跡を見たいと思っていただけで、博多港から釜山港に渡って、バスや鉄道など公共交通機関を乗り継いで移動してみたい、そのための道案内人ぐらいを期待して相談しただけだったのです。
結論から言うと、ジョン・ヒョンスさんは私にとって最高のガイドさんでした。本業が通訳業ということで、良い意味で妙にプロっぽくなくて、見学先や名物料理などむやみに押しつけられもせず、整理されていない私の意向に、私以上に私が何をしたいのか汲み取っていただき、私の予想を超えるガイドをしていただきました。
現地に来て知ったのですが、ヒョンスさんは、現在、大田の機械メーカーの通訳をされているということで、大田の広くてきれいに整備された市街地を巡って、国立中央科学館や大田文化芸術の殿堂を案内していただきました。そして、何よりも思いがけなく大徳研究団地にあるヒョンスさんが勤めている会社の社員食堂で昼食をいただきましたが、その昼食の美味しさと心優しいスタッフのアジュモニが強く印象に残る思い出となりました。
また、大田を起点に、公州、扶余への移動はヒョンスさんの自家用車で移動するという提案をいただきました。外気温氷点下3°Cの中、大田から公州へは周囲の見事な雪景色の中を抜け、公州から扶余へは真っ白に氷結した錦江沿いに童話の世界のようなドライブの旅を体験させていただきました。ヒョンスさんは私の娘と同年代でしたので、まるで自分の娘と旅行しているような錯覚に陥る楽しい時間を過ごすことができました。
公州の国立博物館や武寧王陵、扶余ではついに念願の定林寺址五層石塔をみることができましたが、今回の旅では、何よりも心配りが行き届いて、可愛いらしいヒョンスさんとの旅行が最大の収穫でした。
釜山在住のジョン・ヒョンスさんのお母さんは、キムチ漬けの名人ということなので、今度は私の妻や子どもたちも一緒に連れて行き、キムチの漬け方を勉強して帰りたいと思います。ジョン・ヒョンスさんと再会することを約して、釜山港を後にしました。→ ジョン・ヒョンスさんのブログを見る
作成:2018.3.20